気づいたのは、ある恋愛が終わったあとだった。
別れた直後は、相手のことばかり考えていた。
「あのとき違う言い方をしていれば」
「もっとこうしていれば、続いていたかもしれない」
でもしばらく経って、ふと思った。
「私、あの人と付き合っている間、ずっと何かを演じていた気がする。」
相手が喜ぶ言葉を選んで、
相手が嫌がることを避けて、
相手の反応を見ながら、次の自分の言動を決めていた。
それは「相手に合わせる」ではなく、
「相手に選ばれ続けるために、自分を調整し続けていた」ということだった。
「選ばれたい」が恋愛の中心にあるとき
「選ばれたい」という気持ち自体は、おかしくない。
好きな人に好かれたいと思うのは自然なことだ。
でも、それが恋愛の中心になってしまうと、少しずつ歪みが生まれる。
私が気づいたのは、自分の中にいくつかの「パターン」があったということだ。
パターン①:相手の反応で「正解」を探し続ける
LINEの返信が来るたびに、「この内容でよかったのかな」と確認する。
デートのあと、「今日の自分はどうだったかな」と採点する。
相手の反応が良ければ「正解だった」、
少しでも温度が下がると「何かまずいことをしたかも」と修正を始める。
この状態のとき、私は相手を見ているようで、実は相手の反応を通して「自分の正解」を探し続けていた。
恋愛が、採点競技になっていた。
パターン②:「いい人」を演じて、本音を後回しにする
嫌なことがあっても、「これくらい我慢すればいい」と飲み込む。
意見が違っても、「ここで言わなくていいか」と流す。
疲れていても、「会いたいと言われたら断れない」と無理をする。
「いい人でいること」が、いつの間にか最優先事項になっていた。
でもこれは、相手のためではなかった。
「いい人でいれば、嫌われない」という自分の安心のためだった。
本音を出して嫌われることへの恐れが、ずっと「いい自分」を演じさせていた。
パターン③:違和感を見て見ぬふりをする
「なんか違う気がする」と思う瞬間は、正直あった。
でも、その違和感を認めると「じゃあ別れるの?」という話になってしまう気がして、
見て見ぬふりを続けた。
好きという気持ちで、違和感を上書きしようとしていた。
でも違和感は消えない。
見て見ぬふりをすればするほど、どこかで自分が少しずつすり減っていく感覚があった。
パターン④:「私がいなくなったら困るはず」という依存
別れを切り出せない理由の一つに、
「この人には私が必要なはず」という感覚があった。
頼られることで、自分の存在価値を感じていた。
必要とされることが、「選ばれている証拠」だと思っていた。
でもあとから気づいた。
それは相手への愛情ではなく、「必要とされることで自分の不安を埋めようとしていた」ということだった。
なぜこのパターンが生まれていたのか
これらのパターンに共通していたのは、一つのことだった。
「自分には、そのままでは選ばれる価値がない」という前提を、どこかで持っていた。
だから頑張って「いい人」を演じた。
だから相手の反応で正解を探し続けた。
だから違和感を見て見ぬふりをした。
この前提は、意識していなかった。
でも行動のすべてに、静かに影響していた。
気づいてから、変わったこと
このパターンに気づいてから、少しずつ変わり始めた。
最初に変えたのは、小さなことだった。
「これは嫌だ」と思ったとき、飲み込まずに言葉にしてみる。
「この人のここが気になる」という違和感を、流さずに持ち続けてみる。
相手の反応よりも先に、「私はどうしたいか」を自分に問いかけてみる。
最初は怖かった。
本音を出したら、相手が離れてしまうかもしれないと思っていた。
でも実際には、本音を出しても離れない相手は離れなかった。
そして離れた相手との関係は、続けていても消耗するだけだったと、あとからわかった。
「選ばれたい」から「選ぶ」へ
35歳で婚活を始めたとき、最初はまた同じパターンを繰り返しそうになった。
プロフィールを「どう見られるか」で作ろうとしていた。
会ったとき、相手の反応をうかがいながら自分を調整しようとしていた。
でもそのとき、気づいた。
「また同じことをしようとしている。」
そこで意識を切り替えた。
「選ばれる自分を作るのではなく、自分に合う人を選ぶ目を持つ。」
その視点に変えてから、婚活の体験がまるごと変わった。
相手の反応に振り回されなくなった。
「なんか違う」という感覚を、ちゃんと大事にできるようになった。
そして婚活を始めて3ヶ月後に、今の夫と出会った。
最後に
「選ばれたい」というパターンは、弱さではない。
誰かに認めてもらいたいという気持ちは、人間として自然なものだ。
ただ、それが恋愛の中心になってしまうと、自分がどんどん小さくなっていく。
パターンに気づくことは、自分を責めることではない。
「ああ、またこのパターンだ」と気づけるようになること、それだけで十分だ。
気づいた瞬間から、少しずつ変えていける。
「選ばれる自分」より「選べる自分」の方が、ずっと楽だし、ずっと強い。
あなたはそのままで、選ばれるに値する。だから、選ぶ側に立っていい。







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